巡洋戦艦
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巡洋戦艦(じゅんようせんかん、: Battlecruiser[注 1]: Schlachtkreuzer)は、強力な攻撃力と高速性能を持つ大型の戦闘艦を指す[注 2]

巡洋艦の特徴である高速性能と運動性能、戦艦に匹敵する大口径砲による攻撃力を合わせもつ[3][注 3]。代償として戦艦に比べ防御力を若干犠牲とする設計としている[注 4]第二次世界大戦までは、戦艦とともに主力艦の扱いを受けた[注 5]

英名を直訳すると「戦闘巡洋艦」となる[7][注 6]。この艦種を初めて1908年に建造したイギリス海軍の定義においては、広義では巡洋艦と位置付けられており[9]、高速・運動性能と攻撃力を合わせもつことで、反撃を受けることなく敵の射程外から一方的に攻撃しようというコンセプトであった[注 7]

第一次世界大戦において、巡洋戦艦は有効性を示した[11][注 8]ユトランド沖海戦では主力部隊として活躍しつつも、一方では英国海軍艦は防御力の脆弱さから大きな損害を出した[3][注 9]

列強各国はこれらの戦訓を取り入れ[14]、高速戦艦へ進化した[15][注 10][注 11]
概要

巡洋戦艦は、装甲巡洋艦(Armored cruiser)を発展させた艦種であった[19][注 12]。速力を発揮するために、同時期の戦艦よりも長大な艦形となり[注 13]、大出力機関[21]と燃料貯蔵庫を有する[注 14]。同排水量の戦艦よりも建造費は嵩んだ[23]。後期の艦では同期に建造された戦艦よりも排水量が大きくなり、その傾向は一層強くなった。

一方、日本海軍では「戦艦的巡洋艦(バトルシップ・クルーザー)」として扱われた[注 15]。造艦面では、巡洋戦艦のコンセプトを先取りしたとも評される[25]筑波型[5][注 16]。運用面では多様な任務に従事すると共に[24]、艦隊決戦において戦艦戦隊と行動を共にすることを前提としていた[6][注 17]。しかし1931年(昭和6年)には、日本海軍からは巡洋戦艦という艦種がなくなり戦艦に併合された[注 18][注 19]
呼称

イギリス海軍における艦種略号はBattle Cruiserの2文字をとって「BC」である。この名称を直訳すると戦闘巡洋艦となる[30]

アメリカ海軍は巡洋戦艦の艦種略号としてイギリスとは異なる「CC」を定めていたが、巡洋戦艦として完成した艦を保有したことが無いので「CC」をつけられた艦は存在しない[注 20]アラスカ級は大型巡洋艦 (Large Cruser) を略し、ただしCLは既に軽巡洋艦 (Light Cruser) に用いられていたためBigの「B」を後ろにつけて「CB」とされた。

日本海軍は巡洋戦艦の名称をもちいた[31]。1912年(大正元年)8月28日の艦艇類別等級の改訂により[32]、はじめて巡洋戦艦の名称が登場し、一等巡洋艦(装甲巡洋艦)(筑波型2隻、鞍馬型2隻)が巡洋戦艦に類別変更された[19][注 21]

日本海軍の巡洋戦艦は「戦艦的な巡洋艦(バトルシップ・クルーザー)」という性格が強く[24]福井静夫(海軍技術将校、艦艇研究家)は「しいて英訳するとCruser Battle Ship(クルーザー・バトルシップ[注 22]、巡洋艦の速力をもった戦艦)であろう」と表現している[34][25]


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